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アーユルヴェーダ1日の過ごし方-ディナチャリヤーの有効性 

現代の生活は豊かになりました。一方で、生活習慣、食生活の乱れなどによって、様々な不調に悩む人も増えています。生活習慣の乱れは高血圧や糖尿病、自律神経失調症といった生活習慣病を引き起こすと言われていますが、現在日本における生活習慣病患者の割合は、死亡数割合では約6割を占め、一般診療医療費の約3割を占めています。

アーユルヴェーダが定義する健康とは、身体、精神、魂がバランスのとれた状態です。そのためにはまず1日の中で変化するドーシャバランスを整えることが大切です。またアーユルヴェーダには、自然界と人間が同じ構造をしている(ローカ プルシャサーミャ)という考えがあります。自然と調和した生活を送ることで心身魂の調和につながるとしています。

アーユルヴェーダの時間帯についての考え方

夜遅くまで活動していたり、食事の時間が不規則だったり、歩くことや体を動かすことも少なくなった現代生活。特に都会では、自然と調和した生活を送ることが難しくなっています。

アーユルヴェーダは1日の時間帯に着目します。
太陽周期(昼)は活動の時間、月周期(夜)は休んで体力を回復させる時間としています。
次に各周期を優勢ドーシャによって3つの時間帯に分け、それぞれの時間帯の身体の状態に相応しい過ごし方をします。

  • カパ優勢の時間帯:身体活動が鎮まり滋養・再生の力が優位
  • ピッタ優勢の時間帯:消化や代謝、新陳代謝を促す力が優位
  • ヴァータ優勢の時間帯:交感神経系の活動が優位

太陽周期(日中)月周期(夜間)優勢ドーシャ
06:00-10:0018:00-22:00カパ
10:00-14:0022:00-02:00ピッタ
14:00-18:0002:00-06:00ヴァータ

例えば朝の6時から10時はカパが優勢の時間帯なので体が重くなります。
そのためディナチャリヤーでは朝の6時前のヴァータが優勢の時間帯に起床することを推奨しています。

各時間帯に適した過ごし方をすることで乱れやすいドーシャを整え健康に1日を過ごすことができます。

古典文献による健康的な過ごし方とは

कालार्थकर्मणां योगो हीनमिथ्यातिमात्रक: । सम्यग्योगश्च विज्ञेयो रोगारोग्यैक कारणम् ॥
病気と健康は、カーラ(時間・季節)、アルタ(感覚対象物)、カルマ(行動)のヒーナヨーガ(過小な接触)、ミッテャーヨーガ(間違った接触)、アティヨーガ(過剰な接触)に由来する

アシュターンガフリダヤスートラスターナ1-19


自然界と人間の相互作用は、カーラ(時間・季節)、アルタ(感覚対象物)、カルマ(行動)の3つを通じて行われます。
時間帯や季節の過ごし方、五感の使い方、自分自身の行動が適切であることで健康維持ができます。しかし、適切でないとドーシャの乱れを引き起こし、病気や不調につながります。

適切でない状態は以下の3つに分類されています。

  1. ヒーナヨーガ(過小な接触):[例]ほとんど歩かない、旬の味を食べない、など
  2. ミッテャーヨーガ(間違った接触):[例]耳障りの良くない音や悪口を聞き続ける、日中眠り続ける、など
  3. アティヨーガ(過剰な接触):[例]ベットの中でもスマホを見続けている、好物を食べ続ける、など


ディナチャリヤーで示されている習慣は時間、五感、行動、全てが”適切な”お手本です。


またディナチャリヤー朝の習慣については以下リストが記されています。

  • 早朝に起きる
  • 歯を磨く、オイルうがいをする
  • 点眼をする
  • 点鼻をする
  • ハーブを噛む
  • アビヤンガをする
  • 適度な運動をする
  • パウダーマッサージをする
  • お風呂に入る

これら全ては朝の過ごし方として適切なドーシャを整える習慣です。一つ一つ見ていきましょう。

なぜ早朝に起きることが大切?

アーユルヴェーダではブランマームフールタの時間に起床することを推奨しています。ムフールタとは時間の単位で、ブランマームフールタは日の出の96分前となります。この時間は、知識と幸福を得るのに良い時間だと言われています。また、この時間はヴァータが優勢なので、すっきり目覚め、1日を元気にスタートさせることができます。

オイルうがいのメリットは?

朝の排泄を終えたら、歯を磨きます。歯磨きのことをダンタダーヴァナと言います。
歯磨き粉として、ニームやアルカなどのハーブが使われますが、これらの苦味、辛味、渋みの強いハーブは唾液の正常な分泌を促します。また舌磨きはタンスクレーパーを使って舌の汚れを取り除き、口腔内を清浄にします。
ガンドゥーシャと言われるオイルうがいは、口腔衛生や顔の顔筋肉の強化といった効果に加えて、ヴァータドーシャのバランスを整えます。1日の活動を始める前にヴァータを整え身体が機能しやすいように準備します。

※ガンドゥーシャは口腔内いっぱいにオイルを溜めてキープする方法です。文献ではガンドゥーシャができない子供や老人などはカヴァラという少量のオイルうがいが推奨されています。

伝統的な目の保護法”アンジャナ”

点眼(アンジャナ)は目の中のゴミや不純物などの過剰なカパを取り除き、ピッタのバランスを整えることで目の不調や病気を予防します。伝統的な方法は、ハーブやギーから作られる点眼剤を下瞼の内側にアイライナーのように入れます。

セルフ ナスヤの滴下量

点鼻はナスヤと呼ばれ、セルフケア以外にパンチャカルマ(浄化療法)としても使われます。セルフケアとして毎日行うときには滴下量に配慮しましょう。セサミオイルやギーまたはナスヤ専用オイルを、少量(1~2滴)鼻にさしてください。鼻は頭部へ通じる入り口として、セルフナスヤでは鎖骨より上部の保護として行われます。特に視覚、聴覚、嗅覚、味覚を感じるそれぞれの感覚器官を強くしてくれます。

ハーブを噛む理由とは?

日本ではあまり馴染みがありませんが、ディナチャリヤーの中で朝にハーブを噛むこと(タンブーラ)が推奨されています。伝統的な方法としては、ビンロウの実などをキンマの葉で巻いたものを噛みます。味覚を良くし、口臭を防ぐといった効果に加えて、トリドーシャのバランスを整えてくれます。キンマの葉には、ピッタを高めて消化力をあげてくれる働きがあります。また葉を噛むことで唾液の分泌を促し、腸の蠕動運動を刺激するので、カパとヴァータのバランスも整えてくれると考えます。

朝に行うセルフアビヤンガの目的

全身に塗布したオイルを繰り返し擦り込み浸透させます。ディナチャリヤーとして毎日行うことで、ヴァータをコントロールし皮膚に柔らかさと輝きを与え身体を強くしてくれます。全身にオイルを塗布するのが難しい場合は、文献に記されているように頭部、耳、足の3点を行うことでアビヤンガの目的を果たすことができます。

アーユルヴェーダトリートメント[アビヤンガ]

“適度な”運動が要

運動(ヴャーヤーマ)はその人の年齢や体力、また気温などによって、適度に行う必要があります。適度な運動は、身体を軽くし、消化力を高くし、筋力をつけ、気持ちを明るくする、など心身に良い影響を与え、病気の予防に役立ちます。運動強度の目安は、体力の半分程度(運動をしながら楽に会話ができる程度)です。
一方で過度な運動は逆効果になります。強い喉の渇き、体の衰弱、強い疲労感、咳、熱、吐き気などの症状が現れたら、適度な運動とはいえないので、注意するようにしましょう、

パウダーマッサージが推奨される人

ウドワルタナと呼ばれるパウダーマッサージはカパのバランスを整えるので、体に重さを感じる人、巡りの悪い人に最適です。皮膚の表面についた不純物を取り除き、循環を良くするために毛流れに逆らってパウダーを体に刷り込んでいきます。

アーユルヴェーダトリートメント[ウドワルタナ]

入浴はお湯の温度に注意

お風呂に入ること(スナーナ)は体の汚れを取り除く以外にも、血行をよくする、身体を強くする、消化力をあげる、などの効果があります。ただし熱いお湯を頭部にかけるのは避けるよう注意がなされます。これは頭部のピッタを悪化させ髪を弱くしたり、目の不調につながると考えます。

ディナチャリヤーと現代病に関連する論文

古典文献に示されるディナチャリヤーの習慣一の内容と効果を理解し、さらに現代にどのような有効性があるのかについて書かれた論文を集めました。これらの論文を読むと、ディナチャリヤーが現代人の健康維持にも有効であることがよくわかります。

ディナチャリヤーの習慣について、その内容と効果について詳細な解説
アーユルヴェーダの健康に対するホリスティックアプローチ」

ディナチャリヤー実践における自然との調和の大切さと現代病の予防につながることの検証
「現代社会の病気に対するアーユルヴェーダ的アプローチ」

現代病が社会に与える悪影響と、ディナチャリヤーの持つ予防医学としての有効性の検証
「現代社会における健康についてディナチャリヤーが担う役割」

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まとめ

アーユルヴェーダの健康の定義は、身体、精神、魂のバランスがとれていることです。ディナチャリヤーの実践は、自然と調和した過ごし方を通じて、ドーシャの乱れを防ぎ、心身魂の調和をもたらします。

現代は自然に沿わない生活習慣や食生活によって、多くの人が生活習慣病をはじめとするさまざまな不調や病気を抱えるようになりました。ディナチャリヤーは日々を快適に健康的に過ごす生活習慣として重要な役割を担っているといえるでしょう。


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