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ケーララアーユルヴェーダの原点に出会うKeraleeya Ayurveda Samajam(Shoranur)視察記

ケーララアーユルヴェーダとAshtavaidya(アシュタヴァイディヤ)

God’s Own Country(神々のいる国)-ケーララ 。
ケーララを訪れた人は誰もがこのキャッチフレーズに納得がいくはず。
延々と広がる美しい水郷地帯の田園風景、風にそよぐ椰子の木の葉音と鳥のさえずり、バナナリーフの上に盛られる鮮やかなスパイス料理の数々。
神々の恩恵といえる自然の恵みに満たされたケーララでの時間は、現代社会で疲弊した心身に抜群に効きますよね。

アーユルヴェーダセラピストの教科書がどっぷりハマってしまった南インド。
楽園の側面だけでなく、この地に伝わる清濁併せ持つ歴史や人々の暮らしに私は学ぶことが本当に多いのです。

豊かな水と温暖な気候に恵まれたケーララには沢山の薬草が自生し、古くから土着医療が発展していたといいます。
100年以上前のケーララは厳しい階層社会。医療は各階層に属する医者がそれぞれに担っていました。
また、階層の上位であるバラモンはヴェーダ知識を扱う役割があり、ヴェーダ医学を専門とし当初はバラモンのためだけに治療を施していました。
バラモンは神々に仕える立場のため本来は「穢れ」てはいけない人たちです。階層の違う人たちに触れることや、他人の体液に触れることはご法度。
ところが、ケーララバラモンの医師たちは、あらゆる人々の苦しみや痛みを取り除くためにこの戒律を破ったのだといいます。

ケーララバラモン医師の中でAshtavaidya(アシュタヴァイディヤ)と言われる医師は、仏教徒であるヴァーグバタの経典「アシュターンガフリダヤ」が説いた「外科」と「内科」の融合を軸にし、ケーララ土着の医療と融合させアーユルヴェーダ8科目全てを包括していました。

Ashtavaidya(アシュタヴァイディヤ)は18家系あったとされますが、現存しているのは8家系。各家系により独自の知識や技術が継承されています。またAshtavaidya(アシュタヴァイディヤ)により確立されたケーララアーユルヴェーダは、医学(科学)としての側面だけではなく、人格教育(慈愛の精神、社会貢献、自然との共生、環境保護など)も重要視されているそうです。

ケーララ文化伝承の地を拠点にした初のアーユルヴェーダ総合病院

かつてAshtavaidya(アシュタヴァイディヤ)達が活動拠点にしていたのが南マラバールのニラ河(バーラタプザ)周辺とされています。

※今でもこのエリア(トリシュール〜パラカッド周辺)には伝統的ケーララアーユルヴェーダ病院や学校が数多くあります。

ニラ河周辺地域は肥沃な土地が薬効の高い植物を育つことで有名ですが、ケーララ文化の生命線とも言われる文学や伝統芸術の伝承中心地でもあります。

今から120年前、1902年。マラバール海岸の領主「海の王」という名をもつザモリンにより、あらゆる階層の人たち(特に貧しい人たち)への医療提供を目的とした医師団 Arya Vaidya Samajam がコージコードで結成されました。
そこに集結したのが、Ashtavaidya(アシュタヴァイディヤ)達でした。

©︎Keraleeya ayurveda Samajam

一方当時ザモリンと領土の奪い合いにより敵対関係にあったコーチン王子も人々の健康問題に対して同じビジョンを持っていたことで、1913年にはザモリンとコーチン王子共同で双方の中間地点であるニラ河のほとりにに慈善団体 Keraleeya Ayurveda Samajamを設立します。

遂に世界で初めて一般に開かれたAshtavaidya(アシュタヴァイディヤ)各家系の知識が集結したアーユルヴェーダ総合病院が誕生しました。

©︎Keraleeya ayurveda Samajam

伝統の教えと製法をそのままに

現在でも運営が続いているKeraleeya Ayurveda Samajam。
実際に訪問してみるとても綺麗に整備され維持されていることに驚きました。
アーユルヴェーダ伝統処方薬を製造する建物の中に入ってみると、製薬方法はもちろん設備全てが100年以上前から続く伝統を忠実に守られています。

この大きな鍋には、アヌタイラ(ナスヤ用オイル)を製造するために必要なGangamboo(ガンガムブー)というお水が入っています。

Gangamboo(ガンガムブー)は最も純粋な水とされ、モンスーン時期の中盤に大気の不純物が取り除かれた後に降る雨‘Thiruvathira Njattuvela’を集め、大きな土鍋に1年間貯蔵された後に使用されるそう。

また、大きなライブキッチンのような場所で、入院中の患者さんそれぞれに毎日処方された煎じ薬を都度作るといいます。

製薬のための火は火力を一定にするとされるタマリンドを薪にし、全ての工程を人力で手作業で一つ一つ仕上げていきます。

これらは全て設立当初からAshtavaidya(アシュタヴァイディヤ)が実践してきたそのままを受け継いでいるのだそう。

100年以上前にここで行われていた全てを見ているような、ここから始まったケーララアーユルヴェーダ発展の原点を見ている感覚になりました。

アシュタヴァイディヤの教えを受け継ぐということ

入り口掲げられているのは、ケーララアーユルヴェーダを作り上げてきたAshtavaidya(アシュタヴァイディヤ)や医師のお写真。偉大な知識と技術がここに集結していたのか、と思うだけで鳥肌ものです。
そして100年以上この施設を守り続けるだけではなく、先人達の知識をそのまま保存し、現代も当時と変わらす慈善団体としてあらゆる人々を受け入れ続けているKeraleeya Ayurveda Samajamに深い感銘を受けました。

まとめ

アーユルヴェーダの伝統を受け継ぎ後世へ伝える。この重みをズッシリと感じたKeraleeya Ayurveda Samajam訪問になりました。

Ashtavaidya(アシュタヴァイディヤ)各家系に伝わる知識と技術がKeraleeya Ayurveda Samajamに集結し、そこから、「人が人を思いやる」「慈愛の気持ち」はあらゆる困難や垣根も越えてしまうのだ、という強烈なメッセージを頂いた気がします。

アーユルヴェーダセラピストの教科書、この地に伝わるアーユルヴェーダについて、それなりに知ったつもりでいたのですが、また新しいことに出会ってしまいました。

まだまだケーララアーユルヴェーダ探索の旅は続きそうです。

Keraleeya Ayurveda Samajam

http://samajam.org

Shoranur, Palakkad 679 123, Kerala State, India.
+91 (466) 222 2403/ 3225
kasamajam@gmail.com
Fax: +91 (466) 222 3383

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