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アーユルヴェーダ基礎[ドーシャ通常作用と増加減少状態]

Aṣṭāṅgahṛdaya Sūtrasthāna 11 th Chapter Doṣadi Vijñāna より

人体の機能は3つのドーシャがそれぞれに完璧な働きをすることで正常な機能が成立すると考えます。
例えば消化の働きは、変換作用を担うピッタが中心的役割を果たしますが、ヴァータやカパも消化管の運動や胃腸管内の粘液分泌などで関与をしています。
ドーシャそれぞれの通常作用を理解すると健康状態の判断ができるようになります。
また、ドーシャ通常作用が損なわれているときにはその原因をいち早く見つけ正していくことの重要性をアーユルヴェーダは示しています。

アシュターンガフリダヤスートラスターナ11章ドーシャに関する章から、通常作用と増加や減少による状態について抜粋しました。

ヴァータ通常作用

ヴァータの通常作用は以下のように説明されています。

熱心さ、呼気 (吐き出すこ と)、インスピレーション、身体の運動・活動、自然欲 求(衝動)をおこし、組織への滋養作用を正しくさせ、 感覚機能を働かせる

活力に満ち生き生きとした状態を維持できます。

ヴァータ増加状態

やつれ、黒ずみ、温かさを望む、 震え、腹部膨満、便秘、弱り、辻褄の合わない話かた、めまい、苦痛 を引き起こす

ヴァータの作用に異常が生じ、ヴァータの性質(冷、乾、軽)が過剰になっている兆候を呈します。

ヴァータ減少状態

身体活動作用の弱さ、不明瞭な話し方、身体活動の減少、集中力や感覚の喪 失、カパ増加によって現れる病気の原因となる

エネルギーが枯渇した状態となり、運動機能や感覚機能が低下します。

ピッタ通常作用

ピッタの通常作用は以下のように説明されています。

消化・代謝機能、体熱産生、視 覚、空腹、喉の渇き、味、色艶、記憶保持、知力と知覚、強さ、身体の柔らかさをもたらす

代謝機能が活発で輝きに満ちた状態を維持できます。

ピッタ増加状態

便、尿、目、皮膚の黄ばみ、空腹、喉の渇き、灼熱感を引きおこし、睡眠 時間を減らす

ピッタの作用に異常が生じ、ピッタの性質(熱、鋭、軽)が過剰になっている兆候を呈します。

ピッタ減少状態

消化力低下、冷え、輝きや肌色が失われる原因となる。

エネルギーが枯渇した状態となり、熱産生機能や代謝機能が低下します。

カパ通常作用

カパの通常作用は以下のように説明されています。

安定、油質、結合(関節の安定)、忍耐(寛容さ)をも たらす

安定感と強さを兼ね備えた状態を維持できます。

カパ増加状態

消化不良、分泌過多、無為、重さ、蒼白、冷え、臓器(器官)の弛緩、咳、呼 吸困難、過眠を引き起こす

カパの作用に異常が生じ、カパの性質(冷、油、重)が過剰になっている兆候を呈します。

カパ減少状態

眩暈、空虚感(脱力感)、動悸,関節の緩みの原因となる

エネルギーが枯渇した状態となり、身体を維持する力が低下します。

ドーシャ増減に関わる性質について

ドーシャは同じ性質で増加し、反対の性質で減少します。それぞれのドーシャの増減にどんな性質が関わっているかシュローカに記されていることを表にしています。 性質のコンビネーションのドーシャへの影響を確認してみましょう。

ヴァータ

乾燥、軽性+熱性ヴァータのチャヤ(蓄積)
乾燥、軽性+冷性ヴァータのプラコーパ(増悪)
油性、重性+熱性ヴァータのプラシャーマ(正常化)

ピッタ

鋭性、軽性+冷性ピッタのチャヤ(蓄積)
鋭性、軽性+熱性ピッタのプラコーパ(増悪)
緩性、重性+冷性ピッタのプラシャーマ(正常化)

カパ

油性、重性+冷性カパのチャヤ(蓄積)
油性、重性+熱性カパのプラコーパ(増悪)
乾燥、軽性+熱性カパのプラシャーマ(正常化)

まとめ

このようなドーシャの増減が起こった場合でも人間は本来自然とバランスを取り戻す能力を持っているとしています。何かが増えすぎたときは減らす性質の食べ物を欲し、減りすぎたときは補おうとすることができていれば良いということです。この自然に備わった身体の能力がうまく発揮されるためには、身体組織が栄養を得て最終的に生成されるオージャス(免疫力)が十分である必要があります。


オーシャスについては…アーユルヴェーダ基礎[ダートゥについて]

ドーシャの定義や性質など…アーユルヴェーダ基礎[ドーシャについて


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