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更年期とアーユルヴェーダ

アーユルヴェーダでは、ホットフラッシュ・体重増加・イライラ、など更年期に現れる様々な症状は病気ではなく、ライフステージの変化の過程で心身のバランスが崩れている状態だと考えます。
すなわちアーユルヴェーダのドーシャとプラクリティへの理解をもとに、”体質に合わせた日々のケア”を行うことで快適な更年期を過ごせると考えることができます。

アーユルヴェーダでみる更年期と不調 

更年期とは、閉経の前後5年(平均で45歳~55歳)の期間を指します。、卵巣の活動が次第に低下して女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが減少。ホルモンバランスが崩れがちになります。エストロゲンは女性の生殖機能以外にも代謝、消化、免疫、神経系などにも作用しているため、更年期に入ると心身にさまざまな不調や変化が現れます。この症状は更年期症状と呼ばれ、人によって症状の種類や度合いは様々です。 

アーユルヴェーダでは、この時期に現れる更年期症状は病気ではなく、加齢に伴って自然に生じる現象と考えます。更年期は青年期から老年期に移行するタイミングで、優勢ドーシャもピッタからヴァータへと移行します。
更年期に見られる不調や変化は、ライフステージの移行期にドーシャバランスが崩れやすくなることであらわれる症状がほとんどです。 

年齢とドーシャの関係

アーユルヴェーダでは、人生を3つのライフステージに分けます。

①子ども期(成長期)
②青年・成人期(成熟期)
③老年期(衰退期)

※( )は生理機能の分類

各ステージごとの整理機能が異なるように、優勢となるドーシャが変わります。
このドーシャの変化に影響を受け、バランスが大きく崩れてしまうと不調として様々な症状が現れます。 

ライフステージ区分年齢区分ドーシャ
バーラ:10才までK+++, P & V+
クマーリ –:10-12才K+++,P++,V+
ラジョーマティ:12-16才K&P+++,V+
ユヴァティ:16-40才P+++,K++,V+
プローダ :40-50才P+++,V++,K+
ヴルッダ :50才以上V+++,P++,K+
ヴルッダ :55才以上V+++,P&K+

古典文献による更年期

Jarāpakvāśariranām yati pañcāśatah kṣayam (スシュルタ サンヒター シャリーラスターナ 3/9)

スシュルタサンヒターにも生理がなくなる年齢は50歳と記載されているように、更年期は青年期から老年期にライフステージが変わる節目となります。

優勢ドーシャがピッタからヴァータへと変わるため両方のドーシャバランスが崩れやすくなります。
また変化するヴァータやピッタの影響を受けてカパのバランスを崩す人もいます。 

このように個人の体質や生活習慣などによって現れる症状が異なることが、更年期症状に多様性がある理由となります。

ドーシャ別の更年期症状

ヴァータのバランスが崩れると自律神経の働きに影響がでたりダートゥ減少につながり、身体の機能や心に変化や不調を感じます。 

更年期の女性ホルモン減少に伴いホルモン分泌に関係するピッタがバランスを崩しやすくなります。すると体温変化や消化機能異常などを感じやすくなります。

上記2つのドーシャの変化(ホルモンバランスの変化)がカパへ影響すると、代謝機能や消化機能が低下し、体重増加やむくみなどの症状を引き起こします。 

ドーシャ更年期症状 
VATA ヴァータ不安感、便秘、感情の変化が激しい、乾燥、関節痛、筋肉痛、肌くすみ、不眠、体温が上下する、腹痛、冷え、膨満感、体重減少など
PITTA ピッタホットフラッシュ、体温が上がる、イライラ、消化不良や胃酸過多、吹き出物など
KAPHA カパ鈍重感、気分の落ち込み、やる気がなくなる、消化が遅くなる、体重増加、倦怠感など

症状をみることでどのドーシャが関係しているのかがわかります。

更年期のアーユルヴェーダケア

更年期以降はヴァータが優勢になるためアーユルヴェーダでは一般的にヴァータをバランスするライフスタイルを勧めます。ヴァータをバランスすることで、ピッタとカパを安定させ、ダートゥ減少を防ぎ、アグニを適正に保つことができます。

ただし、更年期症状が出ている場合は原因ドーシャのバランスをとることが必要になります。

ヴァータ更年期症状

  • 温かい飲みものや食べものを優先的に摂取
  • 苦味・渋味・辛味のあるもの、冷たいものを控える
  • フェンネルやクミンなどの温性スパイスを食事に取り入れ、消化をサポート
  • 規則正しい睡眠
  • セサミオイルでのオイルマッサージ
  • ウォーキングなど軽い運動習慣
  • 推奨ハーブ:アシュワガンダ、アルジュナ、グッグルなど

ピッタ更年期症状

  • きゅうりやズッキーニ、甘味の果物など、冷性の食べものや飲みものを優先的に摂取
  • 酸味・辛味・塩味の強いもの、熱いものを控える
  • カルダモン、コリアンダーなど熱性の強すぎないスパイスを食事に取り入れ、消化をサポート
  • 瞑想などで気持ちを安定させる
  • ココナッツオイルでのオイルマッサージ
  • 激しい運動や直射日光に当たるのを避けたリフレッシュできる運動習慣
  • 推奨ハーブ:アロエベラ、アムラ、サフラン、サンダルウッドなど 

カパ更年期症状

  • 温かく、消化によいものを摂取
  • 甘味・酸味・塩味の強いもの、冷たいものや油分を控える
  • ブラックペッパー、ターメリック、生姜などの熱性スパイスを食事に取り入れ、消化サポート
  • 読書や映画鑑賞、勉強などで思考や感情を刺激する
  • セサミオイルかマスタードオイルでのオイルマッサージを時々する
  • 額に発汗する程度の
  • 運動習慣
  • 推奨ハーブ:トリパラ、トリカトゥなど 


※上記アーユルヴェーダケアは治療ではありません。不調症状が長く続く時は必ず医療機関にご相談ください。

更年期とアーユルヴェーダに関する論文

更年期の定義、不調の原因、症状のケアについて、アーユルヴェーダの古典に書かれている内容を科学的根拠と合わせて解説した論文のリンクです。

西洋医学とアーユルヴェーダは観点の違いはありますが、どちらも正しい生活習慣と食生活の実践を軸にしていることがよくわかります。

・更年期症状の原因とケアについて、カーラ(年齢), スヴァバーヴァ(自然現象),ダートゥパリプールナ(体組織の成熟度), カルマ(行い), ヴァータの5つの観点からアーユルヴェーダの概念と合わせて説明している論文

「更年期女性のためのアーユルヴェーダアプローチ」


・更年期症状とケアについてドーシャ別、ダートゥ別に説明し、アーユルヴェーダの更年期症状のケアと現代のホルモン補充療法との比較について言及している論文 

「アーユルヴェーダの更年期マネジメント」 


・更年期の定義、不調、原因、ケアについて、アーユルヴェーダと西洋医学の見解の比較検証した論文 

「更年期:アーユルヴェーダによる見解」 



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まとめ

更年期は誰しもが経験する人生のライフイベントです。しかし、どのような更年期を過ごすかはその人の毎日の生活の積み重ねによって決定されます。 
アーユルヴェーダは全ライフステージにおいてドーシャのバランスを整える生活習慣を勧めます。
ディナチャリヤー(1日の過ごし方)、リトゥチャリヤー(季節の過ごし方)、サッドヴリッタ(善行)などの実践が、健やかな日々と充実した人生を実現させるとしています。


 

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